茜差す |
今年配属される新兵104期生は訓練兵上位成績者の殆どが調査兵団を志願するという異例を作り、ちょっとした話題を呼んでいる。 そんな104期生が調査兵団基地に配属されると俄かに駐屯所は騒がしくなったが、半日ほどで事務的なことは済まされ、すぐに訓練と講義が待っていた。 巨人の闊歩する壁外での活動を想定した上での短時間の移動・戦闘・判断力を鍛えられる訓練はまだしも、講義は長距離索敵陣形というこれまで触れたことの無い戦術学であった。この戦術は、基本的な理念を最初に叩き込まれた後は応用を学ぶしかない。現存している地図から地理も把握しておく必要がある。 体力より頭痛が先にきそうな配属初日となった。 「コニー、大丈夫ですか?」 「何がだよアッタマ痛ぇぇぇぇぇ」 「まぁお前もそんなに人のこと言えないぞサシャ…」 そんな講義にめげず、軽口を叩きながら休憩時間は自室の整理に殆どの新兵が勤しむ。 割り当てられたのは二人ないしは三人部屋で、訓練兵時の大部屋と比べたら狭いながらもかなり個人的な空間が持てる。若い兵達にこれほど嬉しいことはない。 ベルトルトも狭い部屋に差し込む夕明かりを見ながら穏やかな気持ちでいた。 廊下で何か騒いでいる声がする。多分、ジャンだ。 「何やってるんだろうなあいつら」 「さぁ」 扉越しなので何を言っているかまでは聞き取れない。 扉は大事だ。 ライナーと二人きりになれる環境は大事だ。 二人でいないと、時折ライナーが危うくこの世界に飲まれそうになってしまう。 エレンが巨人になったことで当初の予定とは随分ずれたところに自分達は今いると思う。 だが二人でいるからだろうか。 「何でだろう、今ちょっとホッとしてるよ」 不思議だね、とベルトルトが言うとライナーは少し笑んだ。 「そうだな。俺もだ」 短い期間だったが自由な時間を与えられた。 故郷を出てからはあの時が殊更幸せだったと言ったら君は笑うだろうか。 |
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サシャは勘は悪くないんだけどむしろ勘でやっちゃうからたまに理論的に分かってなくてお説教。みたいなイメージです。
一回ボツにしかけたのですが、折角なのでサルベージ。