木通








「うわ、アニいたのか」
 びっくりした、と言うライナーは次の瞬間には笑って手の中のアケビを放って寄越した。
「……」
 父親の格闘訓練への鬱憤から逃げ出して森の隅でじっと丸まっていたアニは、空腹を思い出してそれを口に運ぶ。
 ライナーは自分が親と喧嘩したことを知っているのだろうか。顔を横目で窺うがよく分からない。
 だが「親と喧嘩した」なんて甘ったるい現状を彼らに知られることはアニには耐え難く思えた。
 この郷の子供で二親がいるのは珍しい方だ。ライナーやベルトルトも大多数の方で、親はいない。片親でもいるアニは恵まれていると言っていいだろう。
 そもそもアニはこの郷で戦士を育てるレオンハート博士の一人娘で、ライナーやベルトルトや他の子供のように戦士育成カリキュラムに参加していない。
 本来なら訓練生のしかも男子とは接点などある筈もないのだが、同じ郷で過ごしていれば顔を見合わせることもあり、そのうちライナーは恐らく持ち前だろう明るさを伴い程々の距離感でたまに話しかけてきた。
 こういうのが上手い奴なんだな、とアニはその度に思う。割と嫌な感じはしなかったので。
 今だってそれ以上アニに話しかけず、獣の足跡など物色している。
「ライナーごめん遅れて」
 わぁアニもいたんだおはよう、とベルトルトはにこにこ笑う。
 ライナーはベルトルトにもアケビを渡した。
 そしてライナーの手には何も残らなかったのをアニは見る。
「あ」
 ひょっとしてアニに寄越したアケビは、ライナーの分だったのではないか。
「ライナーは?」
「アニと食った」
 な、と笑ってこちらを見られてはもうアニは何も言えない。
 アニはベルトルトに見えないようにアケビの殻を繁みに隠し、立ち上がってライナーを一発蹴っとばす。
「いって!!」
「食べられそうなものでも探してくる」
 そう小さく早く告げてアニはそこから離れた。
「ライナー、アニと何かあったの?」
「知らねー」
 





















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ベルライとアニが同郷なのは壁内の戸籍上だけのことっていう可能性も考えているのですが今回は同郷設定。
そして戦士育成コースのベルライ、戦士育成側のアニ父、その子供なので戦士育成に参加していないアニ、っていうつもりです。
でもアニ父が趣味でアニを強くしてしまったが為に一足飛びに「戦士」の資格を与えられることになったアニ。みたいなね!
戦士幼年組はそれなりに訓練とかあるけど、一方で割と自由に森や山で遊んだりして(ストレスを解消させる目的で)んじゃないかなーと。あーもー理屈はいいよきゃいきゃいしてればいいよ。
ベリックがね…難しいやね…。