さようなら、兵士の君。








 ベルトルトは自分の膝に乗っているライナーの金糸を幾度も幾度も繰り返し撫でている。
 ユミルはその様子を少し離れたところで見ていたが、すぐに飽きて少しでも楽な姿勢になる為に体を横たえてしまった。


 ライナーが通常巨人に襲われながらも巨大樹の森へ引き返し前のめりに倒れたところを、ベルトルトは素早くライナーの巨人の項から彼自身を引き摺り出した。ユミルはその2人を乗せて一本の巨大樹を登る。
 さしものライナーも今となっては満身創痍だ。ベルトルトが彼を巨人から引き摺り出した時に小さく「すまん」と言っていたように思う。そして意識を手放した。
 ライナーが謝ることではないのにな、とベルトルトは思う。
 あれでは、……あれでは。
 何とか彼と故郷へ帰りたかったが、今はいっそ遠のいた。
 それでもライナーのせいなどではない。彼がいなかったら自分もアニもまだこうして生きてはいない。その意識がベルトルトの根底にはずっとある。
 ユミルが樹の上部の枝を選んで2人を下ろす。
 ベルトルトは小さく礼を告げるとライナーを横たえ、自分はすぐ横に腰かけるとライナーの頭を自分の膝に乗せた。
 それを見てユミルは何を思ったのか、ベルトルト達とはほど近いが違う枝を選んでそこで巨人の姿を解いた。
 そうだユミルに聞いておきたいことがまた増えた。
 ぼんやりした頭でベルトルトは考えたが今は手元のライナーに意識をやるのがやっとだった。眠い。
 ベルトルトも眠気が限界に近かったが、こういう時は交代で眠るようにしているからライナーが起きるのを待つかライナーを起こさなくてはいけない。
 寝ているというよりは怪我もあっての昏睡に近いライナーを起こせる筈もなく、またこれだけ静かな眠りは本当に久しぶりに思えてベルトルトはそれを噛み締めていたい気持ちが勝った。
 一時的な仲間は捨てた。もう兵士には戻れない。
 これでベルトルトにはライナーしかいなくなったし、ライナーにとってもベルトルトしかいない。
 そのことにベルトルトは震えるほど歓喜している。
 お帰り、戦士の君よ。





















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「さっきまで涙顔でわあああしか言ってなかったのはどこのどいつだ」レベルの的確さでベルトルトはライナーを鎧ちゃんから引き摺り出してる筈だよ!