心 20130709


 折り重なる二つの屍体を見やる。
 まさか超大型巨人と鎧の巨人の亡骸がこんなに小さなものになるとは全く昨日まで考えていなかった。
「何で、……」
 その血溜まりを見ながら出てきたのは震える声だ。
 先に斃れたライナーをかき抱くベルトルトを屠る形と最終的になった。
 ベルトルトはライナーの屍を庇うというよりは、二つ共に首を差し出したように見えたのはエレンだけだったろうか。
 そうだろうお前は、ライナーが居なくなってもまだ生きていられるような強さは持っていなかった。
 なのに何で。
 仇を討ってこんなに心が晴れないなどとこの5年間考えたこともなかったのに。










デコヒーレンス 20130905


 座標の確立が不安定だったのだ。
 どうしよう、ライナーがいなくなってしまった。
「ライナー、ライナー」
 あの、ひしゃげるように消えてしまった様をベルトルトもアニも幾度と見てきた。
 ああなった人間が戻ってきたことはない。
 ベルトルトは膝から崩れ、ライナーの名前を繰り返している。
 アニは見ていられなくてベルトルトの名前を呼んだがきっと聞こえていない。
「ベルトルト、ベルトルト…。………ライナー」
 どうしようライナー、ベルトルトを助けて。
 ライナーはいつも自身を省みないのに、誰かを助けて自分を助けてと言えばすぐ駆けつけてくれた。
 だから今だって、ベルトルトを助けてと言えばライナーは
「ライナー…」
 ねぇ、来てくれるでしょう?


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イメージとしては『ノエイン』で時空間の移動が上手くいかなかった感じのやつ、です…。












届くように 20130907


 エルヴィン調査兵団長が最前線に現れライナーとベルトルトに対しアニの名前を交渉対象に出した。
 それは巨人のライナーの手に守られているベルトルトにもはっきりと聞こえた。
 きっとライナーにも。
 ライナーの背中が弛緩しただろうか。今は堅牢な皮膚に覆われているので分かり辛い。
 エレンがアニのこのことを知っていたのだとしたらそれを今まで黙っていたわけだ。随分知恵をつけたなと思う。まだ感情が先に滑ってしまうとはいえ。
 さて交渉と言えば聞こえはいいが、彼らはどの道自分達を殺す。
 アニの状況は分からないが生きているのなら自分達が一堂に会してしまっては処分され易くなる。別れていた方がこのように交渉に使われるなど生存率は高いだろう。
 アニ、ごめんね。
「いらない」
 ベルトルトは短くだがしかと声を発した。
 ライナーの足元に群がる巨人が厄介だ。
「ライナー」
 彼のうなじにできるだけ近付き、届くように名を呼んだ。