| 隣で
20050831 |
あいつが雛森に初めて頬を染めた時も、市丸に…何つーか全部持っていかれた時も、俺はあいつの隣に居た。 今も。 「ひょっとしてお前、惚れっぽいんじゃないか?」 「突然何を言い出すのかな」 吉良は貴族とはいえ暮らしには恵まれなかった。 「僕が惚れっぽいなら、阿散井くんは余程僕の好みでは無かったってことだね」 阿散井は、吉良と並んで歩くことが好きだった。 |
花填(あ)して 20051105 |
赤い山茶花の花が散り、そこら地面一帯を染めている。 己の副官が庭の掃除中にそれをぼんやりと眺めていて、そんな風体の副官は珍しかったので自分もその後姿をぼんやりと見ていた。 少しもしない内に、副官の興味が自分ではなく余所へ向かっていることが腹立たしく感じられて細い背中にどうかしたのかと声を掛けると副官は少々ばつが悪そうに薄く微笑んで「何も」と答え。 その時振り返りざまに山茶花が副官の袂を捕らえた。自分が駆け寄り山茶花の枝ごと切り落とそうとしたところ、副官が己の手に手を添え丁寧に枝を解いてみせた。 副官の手はここのところの冷気で一層青白い。 もうすぐこの赤い花を苗床に白い白い雪が舞う季節になる。 |