愛しきやし刻








 瀞霊廷にて待機命令が出ていた殆どの隊長副隊長へ現世に降下する旨の下知がなされた。
 三番隊副隊長、九番隊副隊長、十一番隊の席官二名は対藍染大隊とは別行動・十二番隊の所有する穿界門で現世の空座町へ先行し転界結柱を守護するようにとのことだ。
 地獄蝶を帰すと檜佐木は取り急ぎ隊士へ守護配置と緊急時の対処を任せ、仕込み火薬を確認し最後に斬魄刀を取った。
 十二番隊へ向かう最中、鬼道と縛道の得手とするものを総浚いしていると吉良と鉢合わせた。
 隊長格しか使用できない専用回廊だった。
「そういえば」
 ちらと顔を合わせるとその後は挨拶もせず歩調も緩めずお互い十二番隊へ歩みを進める中、吉良がこの戦争の前の空気に似合わない緩慢な声音で口を開いた。
「檜佐木先輩は綾瀬川五席にこてんぱんにされたって聞きましたよ」
「……ほぉぉ」
 実際そうなのだが正面気って言われて良い気分のする筈が無い。
 阿散井か。後で殴る。
 短く息を吐いた。
「相性が悪かったんだ」
 言い訳にもならない。
 だが檜佐木も一つ耳にしていた。
「そっちこそ。乱菊さんに壁にめり込まされてたって聞いたぞ」
「相性が悪かったんです」
 しれっといまた言う。
「互いについてねぇなぁ」
「全くです」
「対処法考えにゃいけねぇな」
「そおですね。今度はちゃんと身体を斬りつけることにするとします」
 相変わらず変な所で物騒な後輩だ。
 檜佐木は吉良を見遣るが、吉良はやはり眉一つ動かさない。
 まぁいいや。
「後で阿散井殴っとこうぜ」
「賛成です」
 専用回廊の突き当たり、十二の字が真ん中に彫られた扉が視界に入った。
















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架空の空座町での死神と藍染&破面の対峙前。
檜佐木先輩は自分の斬魄刀のことを「あまり好きじゃねえんだけどな」とか言ってるから負けたんだろうよ、と思うことにする(笑)。