雪見障子








「晋助」
 外出から戻るなり名を呼ぶから何事かと思い河上に顔を向ける。
「艦の下に白梅が見えるでござるよ」
「へー…」
 言い終わらないうちに河上はずかずかと高杉の部屋に上がりこみ、障子を思い切り開け放つ。
 冬の空気が凍みる。
 入ってくる寒さが少し癪に障ったので高杉は河上の方を見て黙っていたのだが、河上は意に介さず高杉の腕を引き否応無く立たせ障子の外を覗かせた。
 すると確かに白い梅の畑が広がっている。
「拙者の郷は季節がもう少し早かったでござるが」
「俺んトコもだ」
 高杉の出国を河上は良く知らない。
だがどうやら南の方らしい。
「では上方の寒さは堪えるであろう」
 すると高杉は少し笑ったようだ。
「さァなぁ。あんまり変わらないみてぇだぜ。あっちは海が近かったからか知らんがな」
 下を見ていた高杉が、ふと身を震わせる。
 例え寒さは変わらずとも。
「寒いものは寒いと素直に言えば宜しい」
「誰が言ってやるか」




















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万斉は高杉が「寒い」とか言わなくても高杉に羽織とか掛けてあげそうだ。