西瓜の行方








 西瓜を井戸に浸けて冷やして食べるのが好きだった。
 井戸に浮かぶ西瓜が気になって何度も井戸を覗きに行くので、危ないからと気を揉んだ師が風呂に水を張ってそこに西瓜を浮かべた。
 何度も何度も風呂場へ足を運ぶ自分を師は笑ってたまに小突く。
 割って食べようかと考えていると小煩い同窓生がやってきた。
「…西瓜の取り分が減る」
「何の話だ」
 連中の顔を見るなり口をついて出てしまった言葉はもう取り消せない。
 高杉はそれだけの会話であっさり事情を飲み込んだらしい。あからさまに小馬鹿にした顔を見せる。
「別にいーよ。お前に用があるわけじゃないし。お前のことだから西瓜割って食べそうだし」
「汚いぞ銀時」
 桂も溜息を吐いて一蹴する。
「人の趣味にケチ付けないで下さいこの御坊っちゃん共めぇぇぇぇぇぇぇ」
「図星か」
「図星だな」
 この二人は普段仲が良いとも思えないくせに一緒になると質が悪かった。
 奥から師が西瓜を切り分けて持ってきてしまったので案の定銀時の取り分は減り、割る楽しみも無くなってしまった。
 西瓜の種を縁側から庭に飛ばし合う銀時と桂の接戦を松陽は笑って見ていて、その隣で高杉が西瓜を食べるというだけだが夏らしいことをするのも久々に見た銀時は何となくそれで気が済んでしまった。
 高杉が帰り際に冬に西瓜の芽が出たら可哀相だなと呟いた。
 そうなったら冬も西瓜が食べられるのだろうかと銀時は少し考えたがそれきりにしてしまった。
 その後西瓜が芽を出したどうか、銀時は知らない。















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たくさんの思い出の中の西瓜。