屋号








 詰所から高杉がふらりと居なくなるのは良くある話で、今回はその日のうちにふらりと帰ってきた。良い方である、以前に軍艦一隻買ってきたと高杉が笑った数拍置いて桂の悲鳴が轟いたことも記憶に新しいくらいなので。
 今日は詰所の玄関口に入るとすぐに桂が理屈をこねている声が届く。
 さて何があったかとその声の元へ行くと廊下で銀時が胡坐をかいていた。目で問う。
「俺にゃ無理、パス」
「何だそれァ」
 銀時の背を退け戸を開ければむさ苦しい男達が桂の前で居心地悪そうにしている。
 朗々と論じることをやめやしない昔馴染の手の中にある書状を高杉は躊躇わず奪った。
「こら、高杉」
 しかし高杉はそれに応えない。
「こんなのヅラに通すんじゃねぇよ」
「すみません、高杉さんは鬼兵隊の方でお忙しいかと」
 桂の正面に座していた男が伏して言う。
「戦争のことは戦争屋だ、なァ政治屋」
 高杉は目線を懐紙から桂に移しにやりと見る。
「政治屋じゃない桂だ」
 高杉がこの場は預かると言い出し譲らないので桂は渋々席を立った。
 後ろ手に戸を閉め廊下脇に座っている銀時を見るが銀時は視線を合わせようともしない。
「銀時、お前はどうするんだ」
「いやほら俺はさ戦闘屋だから」
 己の興が乗った時にしか動かねーよと言う。
 どうやら暫く高杉の企み事を聞いていたいようだ。
 桂は判断し、仕方が無いので斡旋屋に愚痴でも溢しに行こうと坂本の部屋を目指した。















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「〜屋」っていうのは高杉主役歴史小説でそういうシーンがありました。
まるっと使ってしまいました本当にすみません。