遠雷 20100810


 縁側で高杉がじっと座っていた。
 何を見ているのだろうと庭の先を見れば、遠く裾野に覆い被さる雲。遠雷だ。
 雲の筋が光り、耳を凝らせばやっと少し轟く音がする。
 ふうん、と銀時も暫く遠雷を眺めてぼそりと呟く。
「似たもの同士」
「な・に・が・だ・よ」
「酒持ってこよ、呑むでしょ?」
「いいやつなら」












かかる月 20110810


 この不夜城かぶき町でも月が見えるのを銀時は不思議に思った。
 今宵は随分と明るいような気がしてと仕事場から外を覗いてみれば肥えた月が煌々と眩しい。
 夜に忙しい仕事柄の連中が多いこのかぶき町だが、きっとこの月に気付いている奴はいるのだろう。
 そういう粋で不可思議で面白い連中がいる、いい町だ。
 いくさ場では基本的に夜襲は無いのだが時折高杉が銀時の頭を踏んづけて「行くぞ」と言ってくる。
「あっはっはお月様が綺麗じゃのー!」
「思っきし雲出てんだけど」
「雲の端から光が洩れているから、月の場所は分かる」
「どうしようヅラが風流気取りだした」
「キッモーイてなわけで月があるから松明は最小限にな」
「ハイ総督うううう足元見えなくて転んだら責任とって下さい!」
「自己責任!」
 不思議なものであの頃の軽口をいくらでも思い出せた。
 忘れるのが怖くて銀時はまだ月を見ている。











後ろ頭が可愛いあの子 20111030


 やる気の無い教師筆頭、坂田銀八はその後ろ頭を見ると覇気無く呼んだ。
「たーかすぎィ」
「んだよセンセー」
「はい出席」
 遅刻だけどね、と出席簿を開く教師を硬派ヤンキー高杉は拍子抜けした顔で見る。
 こっちが彼の視界に入ろうものならそれこそ脱兎の如く逃げていた当時から考えると大変な進歩だなぁと坂田は甚く感激しているのだがこれが一向に表に出ない。
 大人ってずるい。