詐欺師と参謀の邂逅








 俺が参謀と初めて試合をしたのは、中学に入学しテニス部に入って少し経ってからのことだ。
 …ああ、あの頃の参謀は小柄でおかっぱ頭で、女子かと思ったどころか下手したら年下に見えるくらいだった。現在の参謀に当時の面影こそあれ(当たり前だ同一人物なんだから)名残など一切無い。月日の流れとかかくも凄まじいものか。
  話を戻して、参謀と初めて試合をした時、参謀は試合前の握手に左手を出してきた。左利きの俺に。
  俺は正直驚いた、今までそんなことをしてくる奴は居なかったし、参謀が俺のことを知っていると思わなかったから。小学生テニス界で有名人だった彼が、対してこんな入部してからまだロクに喋っても無い俺のことなんぞ認識しているように見えなかったというのに。
 俺はぎこちなく左手を出した。左手で握手をするのは初めてだったと思う。

 そして俺は一瞬で完膚なきまでにのされた。

  試合が終わって握手をする時、今度は俺が右手を出した。参謀は仄かに笑ったように見えた。
 握手をしながら
「次からも、右手でええよ」
 そう俺が言ったら今度こそ参謀は破顔した。


その笑顔が、なんというか、その…壮絶な第一印象やったね。
 詐欺師、一生の不覚。