詐欺師と参謀の邂逅、二年後









 そんな、二年前のことを。


「覚えとる?」
  聞いたら、参謀は「そんなこともあったか」と覚えとるんだか覚えちょらんのだかよーけ分からん返答をしてきた。
 だがこの参謀のこと、覚えていない筈が無い。
「俺も元々は左利きで、右に直すのに苦労したな」
 レア情報ゲット!
 って、喜んどる場合か俺!!
「へぇ…わざわざ直されたん」
 浮かれる内心とは裏腹に、表面上は平静を装う。我ながら完璧。
「祖父母と一緒に暮らしていた所為もある、左利きはあんまり宜しくないらしい」
 習字なんかも習わされ、徹底的に右利きに直されたのだという。
 ……………習字………?
 確か真田の家は参謀の家の二件隣で(しかも間にある家ってのは真田の祖父母宅のことで、実質は隣同士らしい。ふざけんなー)、剣道と習字の道場もやってるとかで、参謀は真田に習字を習っていたとか、聞いたことはあるような、気がする。
 そもそも参謀は元々その家で暮らしていたのを、父親の仕事の都合だとかで祖父母を残し一時的に東京に住み、そしてまた神奈川に帰ってきたのだとか―――。

 詳しい経緯を聞く勇気は、まだ無い。
 とにかく参謀が以前は左利きだったことを知っているのかどうかは真田に聞かないでおこう。不愉快になりそうだ。

 そういえば、以前は確かに参謀は真田に書道を習っていたが、参謀はあっさり真田の腕を追い越し、現在では指南役と教わり手の立場が逆転しているのだとかいう噂もある。





















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仁王の誕生日合わせに書きました。
「レア情報ゲット!」って心の中でガッツポーズする仁王が書きたかったんです(笑)。
「詐欺師と参謀の邂逅」と併せてお読み下さい。