骨杯が四つ |
「なーんだかさぁ、こうしてると懐かしくなってきちゃうね!」 器用に紙コップを四つ持った千石は二つを真田と柳に差し出した。 コップの中身は一つは麦茶、一つはスポーツ飲料。選抜勢の為に設けられた給水室に常備してあるものだ。 休憩時間の突然の参入者に一瞬気を取られるも柳はいつも通り淡く笑う。 「頂こう」 ほら弦一郎もと柳は促す。 礼を言うと真田も千石の手から紙コップを受け取った。 真田と柳は部内での立場から意見交換する習慣がついていたのでそれに習ってこのイレギュラーなJr選抜合宿の休憩時間を過ごしていたところだ。 「元気な後輩君は?」 「さっきピロティ下に水場があると教えてやったら走って行ってしまった」 「水浴びかな。暑いもんねー」 真田はこういう風に柳と千石が話している時は余り口を挟まない。たまに千石が話をふるとちゃんと答えるので聞いているらしいことは伺える。 千石が言っていた「懐かしい」とは昨年のJr選抜合宿を指してのことだろうと二人には容易に知れた。 「いい場所教えてあげたねぇ。あそこ奥まってるから、今回集まってる中じゃまだ俺達ぐらいしか知らないねきっと」 今回の選抜合宿で赤也は若干浮いてしまっている。そのことを千石なりに心配してくれていたようだ。 「でもいいよねー彼は、先輩と一緒に合宿来れたんだもん」 それにしても他校生から注意を受けるならまだしも心配されてしまうとはさすがに指導不足が否めないと痛感させられる。赤也にも自制や自重、我慢といった言葉と行動をいい加減叩き込まなくてはいけないかと真田も柳も考え始めていた。 「…ああそうか、千石は一人で寂しいのか」 「あっはは、バレたー?」 「俺で良ければいつでも甘えに来い」 「そういうこと言うと俺本気で甘えちゃうよ柳くん」 「それくらい俺が読めないと思うてか」 「…そうでした」 柳と会話を進める千石の手には空になった紙コップとまだ手付かずの麦茶。 手付かずの方は千石自身の分ではないのだろうか。真田が疑問に思うと千石はその表情に気付いた。 「これ?んー、待ち人が居るんだ」 そろそろ来るんじゃないかなぁと千石は左右を見た。 「あっ来た!ラッキー!あ〜〜〜っとーべく―――――ん!!」 氷帝の部員達と何やら打ち合わせをしていたらしい跡部は数秒押し黙り、早口でキリのいいところまで部員に指示を出すと千石に向き直って怒号を上げた。 「テメ変なイントネーション付けて呼ぶんじゃねーって何度言えば分かんだ千石ぅぅぁぁぁぁぁぁぁあアア!!!」 跡部はテンションが高い時は高いが、こういうように人を叱るのもその為に声を張り上げるのも学内では滅多に無い。 らしいのだが、真田も柳もああいつものことだなとこの光景を捉えていた。 逃げなきゃーと笑いつつ残った紙コップを跡部に差し出す千石を見て、不可解に思いながらも少し笑ったような真田の空気を隣に居た柳は感じた。 |
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真田の表情を読み取る千石がちょっと凄い。
跡部が分かりやすく怒ることがもう椿事なのにそれがいつものことになっちゃってる真田と柳も変。
真田が笑うのもそんなに無い。
あと真田と柳が心配されてるってのも珍しい。
休憩時間になったら何を飲むのが好きか全員が全員を把握している。
そんな元祖選抜メンバー。
だったらいいな!
妄想抜きにしても、この四人本当に意外と気が合うんじゃないだろうか。
二年生の時に真田・柳・千石・跡部が体験したというJr選抜を受けてのアニメのオリジナルのJr選抜の話。
今頃Jr選抜ブームです。遅い遅い遅すぎる!