天気、天機、恬熙。 |
今日は花火が上がる。 せっかく高台にある学校の屋上で花火見物と洒落こみたいという意見もちらほらあったが祝日の学校は17時に完全下校と定められていて、大会が近いのに校則違反をするのも面倒臭いと祝日返上で部活動に勤しんでいた生徒達は皆おとなしく帰路につくか、あるいはお祭り騒ぎに便乗しようと港へ足を伸ばす。 幸村と柳は真田の家へ靴を片手に上がりこみ、二階の窓から屋根へ出て花火見物にいい按配の場所を確認していた。 「毎年思うけど瓦屋根ってすわ…すわ…座れないこともないけど寝っ転がるとか無理だよね!漫画とかでたまにそういう描写あるけどアレ瓦舐めてるよね!」 足元をかなり気にしながら幸村が主張を叫ぶ。一昨年同じ状況で足を滑らせたのが効いている。 かくいう真田も柳も言うほど瓦屋根に慣れているわけでもない。毎年大晦日に屋根掃除に駆り出されるぐらいのものだ。 「傾斜にもよるさ。それより気を付けてくれよ、貴重な戦力だからな精市は」 「戦力だけ!?貴重な体とか貴重な部長とか貴重な鬼才とか貴重なテクニックとか」 「うん、戦力だな」 真田が三人分の麦茶をお盆に載せて窓から顔を出す。 「どうだ足場は」 「ああ大体分かった。精市、一度上がるぞ。花火までまだ時間がある」 言えばいまだに若干緊張した面持ちの幸村が手を伸ばしたので柳は笑って手を取り引いてやる。 「可愛いなウチの部長は」 「誰に言ってんの蓮二ぃぃぃぃ」 「可愛い精市に」 いまや幸村相手にこれだけのことが言える同学年というのもいないな、と真田は溜息をついた。 麦茶の中の氷がガラスとぶつかる音がする。 「だいぶ涼しくなってきたな」 さて明後日の天気はどうだろうと幸村と真田は考えている一方で柳は数時間後から明日にかけての天候を気にしていたのだが、毎年この時期は不安定だなぁと思っているのは同じだった。 |
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開港記念日の三強。