パパベリン・ポピー









 番傘を畳んで部室に入った柳を見て、今日は日差しが強いんだなと。
 思っていたらにわかに仁王が柳の頭を左右からしっかり掴んで自分の顔と同じ高さまで下げた。
「こらこらこらこら」
 柳が一言も出せないでいるのに対し幸村が注意する。
 それなりに抵抗してはいるようなのだが柳のあのひょろ長い首では限界があるようだ、というかそのうち折れるんじゃないかと見ている赤也の方が肝が冷える。
 幸村が穏やかであるうちにと丸井が定規を柳の頭部に当てた。どこから用意したのかかなり長い定規だ。
「よっしゃ」
 丸井が言うと同時に仁王は手を離し、反動で柳は少し後ろにぐらついた。
 丸井の指が置かれた目盛りを見て丸井と仁王は感嘆しきりだ。
「な、何?何してんスか?」
 赤也が目の前で行われた椿事にやっと口を挟む。
「いやー柳が小顔だって言われたから、本当かなどれくらいかなと検証を」
「『言われた』?誰に」
「ジャッカルに!」
 嘘をつくな嘘を、と完全に巻き添えらしいジャッカルが後方で必死に主張している。当然だ、このままでは三強から制裁を与えられる側になりかねない。
 お構い無しに丸井は次に赤也の頭部を測り始めた。
 気が逸れたならいいか、と柳は軽く首を回す。
「痛かった?」
 こちらはまだ柳に興味があるらしい仁王が薄く笑って近付いてくる。
「…小顔」
「クラスの女子が言うとって」
 いっつも真田の後ろに居るからそう見えるだけじゃないんかのーと思った、と仁王は言う。
「言われてみりゃちっさいわ。一年の頃から頭の大きさ変わっとらんのと違う?」
 いくらなんでもそれは無い。
「そんなこと知ってるの、俺だけで良かったのにー」
 やっとロッカーの前まで辿り着いた柳に幸村が小さく耳打ちする。
 何だそれは。
「負けず嫌いだな」
「それ真田にも言ってやって」
 絶対俺と同じこと考えてるよ!
 言われて真田を見れば目を逸らされた。
















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柳誕生日合わせでした。