ミッションインポッシブル 20120325


 幸村は携帯電話を開けては閉じ、開けては閉じを繰り返して8回目で溜息をついた。
 それを丸井はようやくやめるのかと思い横目に見ていると、幸村は携帯電話をもう一度相当な速さで開閉しラケットバッグに放った。
 練習再開である。
 U-17選抜合宿から去った連中の誰からも連絡が無いのは確かに少し訝しまないわけでもないが、思い返せば普段から部活でほぼ毎日顔を突き合わせているためメール等のやり取りはかなり少ない間柄と言えばその通りなのだ。
 彼らは学校で部活に勤しんでおり、こちらも合宿で疲れていると察しているとすればそう不自然な状況でもない。
 だがむしろ学校にいるなら柳から学校の部活動報告など幸村にありそうなのも確かである。
「去年2人が選抜行ってる時も真田からメール来なかったんだよなー」
「え、真田から待ってんの柳からじゃなくて」
 ああそりゃ蓮二からのメールは欲しいし電話も欲しいと幸村は言ってから
「蓮二の寝顔を激写して送るように言っといたんだけど真田に」
どうしよう突っ込みどころが多くてどうしよう。
「まぁ今回は帰りのバスでうっかり眠る蓮二希望、っていうか普通に部活中の蓮二とか送れって」
 柳生はさっきからこちらに目線を寄越さないし、切原はさっき3番コートの連中に呼ばれて行ってしまった。
「……………真田ってケータイ使えたっけ」
 丸井はそれだけ言うのが精一杯だったという。











きんいろ 20120521


 通常通り朝7時にテニス部の部活動は始まった。
 真田とてそこまで鬼のつもりはないので、月が太陽に差し掛かった頃には一時部活を休止させる。
 知的好奇心にはかなり従順な柳は表向き取り繕いつつ内心相当浮き足立っているのではないか、と案じたが杞憂のようでいつも通り飄々としたものである。
 一方で手には見慣れぬカメラを携えておりそれなりに楽しむ気でいることも分かったがその程度こちらもそのつもりである、問題は無い。
「まぁ生憎の空模様だが」
 直射日光に対応したレンズだというカメラを天に向けながら柳がいつもの静かな声で呟く。
 学校側が用意した減光板を翳しながら真田が相槌を入れた。
「これくらいが丁度良いかな」
 曇り空から時折細い輪の光が白く零れる。
「何が丁度良いのかは分からんが、俺はお前に金色の環を見て欲しかったと思っているぞ」
 呆気にとられた柳のカメラを構える手が一瞬緩んだ。











2012年天体イベントにおける幸村の主張 20120604


幸村「真田が金環日食で蓮二が部分月食!?いいなずるい!俺も誕生日に何か天体イベントあったらいいのにーこうなったら流星群どころじゃなくって…そう!宇宙誕生ビッグバン的な!」
丸井「それ俺達死んじゃうから!」