スクアーロがボスの、XANXUSの部屋から出てきた。
たまたま出くわした自分にスクアーロは笑ってみせる。彼のことだから自分の気配に気付いていなかったわけではないだろうけど、では部屋の主はどうなのだろう。
「どうかした?」
聞くと、スクアーロは部屋の方を一瞥して「寝た」と小さく告げた。
ああそれで、彼はボスの部屋から早く退散することを優先させたのだろう。ボスが深く眠ることは滅多に無い。尤もそれはこの銀髪の彼にも言えたことなのだが。
ボスは寝てる、なんて言えるのはスクアーロだけだ。
スクアーロはマーモンを抱き上げる、子供は早く寝なきゃなぁなんて自分には良く分からないことを言いながら。抱えられた右腕と胸はこの肌寒い夜に程良い温もりを湛えているのに、左手は冷たかった。
スクアーロはどうやら自分を部屋まで送ってくれるらしい。
「俺、明日からちょっと長い任務で居ねぇからさぁ」
「うん」
「ボスのこと頼むな」
「うん」
でも早く帰ってきてね。ボスが癇癪起こしたら僕達で止めるには限界があるんだから。
フード越しに自分に触れてくる冷たい左手は幼いゆえ体温が高い自分にはいつも心地良かった。
ねえ、早く帰ってきてって言ったのに。
約束破ったことないのにスクアーロ。
あの冷たい手はもう自分に触れない。
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