左手が爆ぜた。
 左手首から火花が出ている。この腕ができたばかりの頃はたまにあったことだった。
 しかし久々だ。任務が終わり本部に戻ってきてからのことで良かったと思う。早々に技師を呼びつけてしまおう。
 漏電しているのだったら素手では触れないなと妙に冷静に、だが呆然としているところを本部逗留中のベルフェゴールに見られた。爆ぜた時の音を聞きつけてきた様子だったので、自分が思っていたより余程大きな音で破損してくれたようだこの左手は。
 ベルフェゴールが自分を見るなり変な顔をするものだからどうしたものかと思ったがとりあえず「よお」と声を掛けてみたら一瞬動揺したようで変な顔を引き戻したもののすぐに今来た廊下を戻っていった。
 あれは何だ、『拗ねた』?
 左腕の方はというと、神経が繋がっていたのでかなり痛いのだがこんな痛みはもう慣れた。
 片腕が無いまま生活していた頃の勘を取り戻すように少し歩いてみる。
 あの頃の自分は髪が短く、上司にもまだ凍傷の痕も無く、好きだとか嫌いだとかそういう感情はとっくに通り越したくらいには既に常に彼を追っていて、彼は雨が降る日には機嫌が良いことが多かった。
 そうだしまった、技師を呼びつけては彼に腕が駄目になったことを知られてしまう。
 すると途端に機嫌が悪くなるのだあの上司は。
 このことで任務に差しさわりが出るとは我ながら思われないが、彼の癇癪に付き合うのはこの状態では聊かきつい。
 だが今日は雨、ひょっとしたら彼は機嫌が良いかもしれないと思い自分は廊下を急ぐことにした。





















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スクアーロはこの時のXANXUSとベルフェゴールの表情が良く似ていることに気付かない。