遠くで名も知らぬ鳥が哭いた |
スクアーロに会えるようになったら言いたいことがあった。 綱吉がボンゴレ十代目に就任して後、身の回りが少し落ち着きボンゴレ内で比較的自由が利くようになってから色々手続きを踏まされやっと面会の許可が下りた。 通された部屋でスクアーロは窓辺に腰掛けていた。 リング争奪戦の時の傷は残っていたが、ドアが開いて部屋に入る自分を見る時の彼の体の動きに不自然は見られなくて少し安堵した。ここまで回復するのにどれだけの苦闘があったかは想像に難しくない。 「スクアーロ」 自分をここまで案内したベルフェゴールが不機嫌そうな声で彼を呼んだ。 「何だァ、わざわざベルが案内してきたのかぁ?」 悪ィな、とスクアーロは笑ってみせる。彼はこういう笑い方をするのか。自分が知っている彼の笑い顔はもっと鋭かった。 ベルフェゴールは小さく返事をして退室した。彼は終始自分に殺意を通り越して純粋な怒りのみを向けてきていた。スクアーロを目の前にして心当たりが無いとは言えないところが辛い。 「スクアーロ」 さっきのベルフェゴールと同じになってしまうが、とにかく名前を呼んだ。 スクアーロは返事をしてさっきのように薄く笑う。ああ、これはひょっとすると子ども扱いか。 「あんたの技、オレに頂戴」 「ん?」 「ずっと考えてた。あんたの技、オレに頂戴」 「良いけどよぉ」 え? 「えっウッソ!」 「お前時雨蒼燕流はどうすんだよ」 「え、あ…」 自分の流派があるくせに俺の技まで欲しいなんざ贅沢な餓鬼だとスクアーロは付け足した。 「う、はい!っていうか嘘ぉー!!」 オレのことを贅沢だと言う割りにスクアーロは俺の言ったことを否定しなかった。それがどんなに嬉しいか。 「テメーから言っといて嘘嘘煩ぇ!!」 「だって、許可出るなんて思わなかったから!!いいって言ってくれるまで言い続けるつもりだったけど!!」 稽古つけてくれな、と繰り返すオレをスクアーロは見ていた。 「ずっとなぁ、技なんて誰にもやるつもり無かったんだが」 「?」 「剣が使えるうちに死ぬつもりだったからなぁ」 稽古はもちろんつけてやるがXANXUSが怒りそうだからナイショな、とスクアーロは笑った。 そんなことって、そんなことって、 そう言ってアンタは最初から最後までオレに何も与えさせてくれやしなかった。 |