あなたの背中が見える場所


「隣じゃなくて、いいの?」
 スクアーロがボスの後ろを歩いている時に聞いてみた。
 隣っていうのはボスの隣ってことで、スクアーロはボスが大好きだったからさ、後ろなんかじゃなくて隣を歩きたいんじゃないかなーって思ったわけだ。俺なんかは平気で隣や前を歩くしね、ボスの機嫌が悪い時はそりゃ避けるけどさ。
 そうしたらスクアーロは「あの人の背中を見ていたいからいいんだ」って。
「変なのー」
「変で結構ぉ」
 何それ大人ぶっちゃって!
「ワケ分っかんね」
「分かんねーならその方がいいだろ、面倒くさいもんだからなぁ」
 何それ何それ!
 ボスの背中見て安心したいなんてスクアーロの見え見えの小さな欲は『面倒くさいモノ』なわけ?おっかしいの、スクアーロはただボスの後くっついて行きたいだけじゃん、簡単なのに。











今まで見えていたものが見えない嘘


 ボンゴレリングを巡っての雨戦の翌朝は陽気も上々、雲も流れるいい気候で、ベルフェゴールはいっそ雨でも降ってくれればいいのにと不貞腐れていた。
 …ねー、嘘でしょボス。
「マーモン、さっき俺に何か見せた?」
「そういう無駄打ちはしない主義だよ」
「だよなー」
 暇だ暇だと繰り返すベルフェゴールは結局マーモンと会話をするくらいしかできず、先程のバルコニーへまた足を運んでいた。
「何か見たのかい、ベル」
「……………」
 ボスの後ろに銀色の長いのが「見えない」のだなんて。言えるものか。
 マーモンはベルフェゴールの沈黙を肯定と取ったのか面倒くさがっていると捉えたのか、どの道このまま話す気は無さそうだと判断した。
「今日は夜中まで起きていなくちゃいけないから、今のうちに寝させて貰うよ」
 自室へと戻るマーモンをベルフェゴールは目だけで見送る。
 ねぇ、嘘でしょうボス。